膝の水を抜くとクセになる?
  膝の中にある水は、医学的には関節液と呼ばれ、関節のクッションである軟骨に栄養を与え、関節の潤滑な動きに重要な役割を果たしており、常に新しい関節液に入れ代わるように循環しています。正常な状態では関節液の量はごく少量で、注射で抜くことはまず不可能です。ところがケガ、老化、リウマチや痛風など何らかの異常により関節に炎症が起こると関節に悪影響を及ぼす有害物質を多く含んだ「異常な関節液」が増えてきます。これが膝に水がたまるということなのです。この状態を放置しておくことは膝にとって好ましいことではありません。ある程度の量であれば自然に吸収されていくこともありますが、量が多ければ注射で抜くという治療が最適です。また、炎症が収まらないかぎり、異常な関節液も増え続けていきますので何回か水を抜くことが必要になってきます。「水を抜くとクセになる」のではなく、「クセになっているので水を抜かなければならない」のです。 (あおばタイムズ掲載)


腕が抜けた?
 
 小さなお子さんの手を急に引っ張ったり、ねじったりしてしまうと腕全体の痛みを訴え、だらんと腕を下げたまま動かさなくなることがあります。親と手をつないで歩いている時にお子さんがつまづいたり、むずがってその場にすわり込もうとした時に手を離さずに引っ張り上げようとした場合に起こることが多いようです。手首のあたりを押さえて痛がったり、腕を動かさないので肩が脱臼したように見えますが、これは「肘内障」と呼ばれるもので肘の靭帯が少しずれて起こるのではないかと考えられています。2歳から6歳ぐらいまでの間が最も起こしやすい時期で、大人に起こる脱臼(関節が完全に外れてしまう状態)とは異なり、自然に整復されることもありますが多くは医療機関での整復が必要となります。大人の脱臼は整復後も痛みや腫れが残るので、ある程度の期間、安静固定が必要ですが、肘内障では整復後すぐに腕を動かし始めることがほとんどで、特に固定などは必要としません。痛みも残らず経過は良好ですが、再発することがあり小さなお子さんでは注意が必要です。(小学生以上ではほとんど起こらなくなります) 
(あおばタイムズ掲載)